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森 知英(もり ちえ) 岩手県出身

 東京藝術大学音楽学部卒業、同大学大学院修士課程修了。

 第37回全日本学生音楽コンクール、中学の部東日本第2位・第39回高校の部第3位。岩手県立盛岡第一高等学校2年在学中、第55回日本音楽コンクール(毎日新聞社主催)入選。1989年第8回ベートーヴェン国際ピアノコンクール(ウィーンで4年に一度開催)第4席入賞。1995年第13回ショパン国際ピアノコンクール(ポーランドで5年に一度開催)に、日本ショパン協会より日本代表として派遣、デュプロマを得る。日本ショパン協会第184回例会、日本経済新聞社主催リサイタル、ヴァンクライバーン国際ピアノコンクール日本委員会主催リサイタル等に出演。室内楽奏者としての演奏も多く、他にNHK=FM出演・学校コンサートなどの教育活動・コンクール審査など活動は多岐にわたる。

 1999年から続く自主企画コンサートは2017年に22回を数える。これまでに「ベートーヴェンピアノソナタ全32曲演奏会」、バッハ:ゴルトベルク変奏曲、ベートーヴェン:ディアベリ変奏曲、ロシアン・ロマンス、NHK交響楽団・東京フィルのメンバーとの室内楽など、様々な企画で開催を続けている。

 大友直人指揮=新日本フィル、フランツ・リスト室内管弦楽団、東京都交響楽団、飯守泰次郎指揮=東京シティフィル、ポーランド国立クラクフ室内管弦楽団などと共演。
 吉田見知子、田村宏、小林仁、ハリーナ・チェルニー=ステファンスカの各氏に師事。日本ショパン協会正会員。
2017年12月現在
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※コンサート主催者様へ。チラシなどの資料には上記紹介文をお使いください





・・・  懐 か し い 写 真 を  ・・・


− 1歳 −
正真正銘!?ピアノを始めた頃
− 小学生 −
お気に入りのワンピースを着て
三陸海岸にて
− 大学生 −
ベートーベンコンクールの頃




・・・  ピ ア ノ を 始 め た 頃  ・・・

 幼い頃の記憶というと、ひとつふたつおぼろげに残っているだけですが、その数少ない記憶の中に、私がピアノをお稽古事として始めることになった日のことが、はっきりと刻まれているのは、本当に何度考えても不思議です。


 4歳になった頃のある夜、呼ばれて居間へ行くと、テーブルの前に座っていた母が、「今度から、先生についてピアノを習うことにしましょうね」と、私に言ったのです。
「エーツ、ピアノを習うの!」お稽古事を始めるという興奮でいっぱいになった私は、すぐさま、お風呂に入っている父の所に走って行き、大声でそれを報告したことを覚えています。
 ほんとうに、ごく普通”ある夜”の出来事だったのに、その時母の座っていた場所や、部屋の蛍光灯の明るさなど、目にしっかりと焼きついているのです。もっとも母は、おなかの中にいる私に、自分がポロンポロンと弾くピアノの音を聴かせ、生まれてからは抱っこして鍵盤に触わらせ、遊ぶようになってからはピアノの蓋をいつも開けておくなどして、この日を手ぐすね引いて待っていたようですが・・・


「ピアノこそ私の天職、一生を懸けていく仕事」と決心するような、ドラマティックな瞬間というものはありませんが、高校一年の学生コンクールの本選の時、「今、私の感じている事全てを、早く聴衆の前で表現したい」と強く思ったあの瞬間が、現在の私の原点となるのでしょうか。
 その時弾いた曲は、ショパンの 『バラード第一番』 で、それ以来、私の大切なレパートリーとなっています。
 扉を開けても開けてもまた扉がある、といった感じでとても奥深く難しい曲ですが、大好きな曲のひとつです。


 私にとっては、毎日が”ピアノを始めた頃”という感じで、一つの事を深く学んでいくその道のりの長さを、ひしひしと感じるこの頃です。幸せなことに私は、吉田見知子先生、田村宏先生、小林仁先生と先生に大変恵まれ、いろいろなご指導を頂くことができました。また、コンクールやコンサートなど、良い演事の機会もたくさん項いてきました。そういう恵まれた環境のなか、とても自然な形で現在に至っているのです。もちろん、そのように感じている私の陰で、周りの多くの方々が大変なご苦労をなさっていたことと思い、感謝の気持ちでいっぱいです。


 ピアノを通してのもうひとつの想い出、冬にあった発表会、夏のコンクールの記憶と共に鮮やかに甦ってくるのが、その時に着た衣装のことです。小さい頃、せっかく着せてもらった洋服をすぐに泥んこにしてきてしまうような活発な子どもでしたが、きれいなドレスに対する憧れは、その頃からとても強かったように思います。
「知英は、きれいな新しいドレスを買ってあげると、張りきってお稽古するものね」と、よく言われていたものです。今でも、美しいドレスを見て歩いたり、コンサートの前に曲をイメージしながらドレスを選んだりすることは、私の大きな楽しみになっています。今も、次の演奏会で著るピンクのドレスが目の前に置いてあります。
 このドレスを眺めながら、「この音はどんな風に響かせたらいいのかしら」などと、思いを巡らせる毎日です。
1996年「あんさんぶる」7月号より

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